ソムリエYosukeのワインコラム - ポピー
日本ソムリエ協会認定ソムリエYosukeです。
さて、カリフォルニアといえば。
ナパバレー、ソノマなど名だたる産地から生み出される濃厚なフルボディを中心に、初心者から知識豊かな上級者まで多くのファンを虜にするワイン産地です。有名な「オーパス・ワン」をはじめ様々な種類のワインが存在する魅力的な名醸地。
時は1976年。のちに「パリスの審判」と呼ばれる事となるテイスティングでの大金星により一躍大注目となったカリフォルニアワイン。
今回はアメリカのセントラルコーストより、赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン、白ワインはシャルドネの2本をソムリエによるテイスティングコメントともに紹介します。
造り手の名は「POPPY」。2003年にシルバファミリーによって設立され、豊かな日照量と冷涼な気候のもとゆったりと成熟させた葡萄により深みのある味わいのワインを産み出すワイナリーです。
■テイスティング

やや濃いめのレモンイエローに麦わら色が混ざる、黄金色の外観。
軽やかさよりは濃厚さを予感させる色味。
モントレーの白ワインの特徴として、際立ったアロマとなめらかな舌触りが挙げられます。
香りはパッションフルーツなどみずみずしく豊かな果実感がありますが、空気となじむにつれてどんどんとヴァニラやバタークリームのようなコクのある香りが感じられます。
口当たりは酸が穏やかで柔らかい印象。クリーミーさは徐々にほどけてゆき、心地よい苦味を伴う余韻へと変貌してゆきます。
酸が控えめなので、一般に白ワインと高相性と考えられやすいカルパッチョなど、お酢のニュアンスがあるお料理よりは、樽が醸し出すコクに合わせて鶏のクリーム煮、魚ならフリットにバターソースみたいな感じのお料理と良さそうですね。

しっかりとした濃いルビー色。ワインレッド。
ハーブやお野菜を中心としたアロマに、樽由来と思われる優しくまろやかなヴァニラ香が絡みます。
シナモンやコショウといったスパイス感も見え隠れし、お菓子とあわせてみたくなるような楽しさも。
口当たりにはバターのようなコクも感じられて濃厚ではあるものの、尖った渋みや酸味がないため非常に滑らかで飲みやすい印象。
徐々に広がる味わいの中には、ピーマンやシシトウなど青みを伴った清冽なニュアンスも。それでいて変に青臭くならないのは、樽による柔らかなコクによるところでしょうか。
余韻には、ブランデー漬けのフルーツやラムレーズンのようなニュアンスが豊かに残ります。ヴァン・ショー(バン・ショー:ホットワイン)みたいな味わい方も面白そうです。
香草をきかせた煮込みやハーブ香をまとわせたロースト、ラム肉、燻製なんかといただきたいですね!
■分析
ふたつのワインを飲み比べて比較してみると、その共通点として「バランスよく付与された樽のニュアンス」が挙げられます。
チリ、アルゼンチン、ニュージーランドそしてカリフォルニアといった「ニューワールド(新世界)」のワインは、アメリカンオークと呼ばれる樽を使用し、ワインにしっかりとした樽香を付与し、チョコレートやココナッツのようなニュアンスを演出する傾向があります。
一方でこのPOPPYの2本は、樽を使用することでそれぞれのワインにバターやヴァニラのニュアンスを表現しながらも、葡萄品種本来の個性を損うことなく仕上げられておりそのバランス感覚が秀逸。
白ワインは上品なフルーティーさを、赤ワインは複雑味のある豊かな味わいを楽しむことができ、丁寧でセンスを感じる仕事ぶりです。
そのおかげでお料理との合わせ幅が広く、様々なおつまみとのペアリング・マリアージュを愉しむことができそう。
どちらも、ふくらみのある大きめのワイングラスで豊かな香りを楽しみながらいただくとより美味しく召し上がれそうです。

そのおかげでお料理との合わせ幅が広く、様々なおつまみとのペアリング・マリアージュを愉しむことができそう。
どちらも、ふくらみのある大きめのワイングラスで豊かな香りを楽しみながらいただくとより美味しく召し上がれそうです。