V.V.(ヴィエイユ・ヴィーニュ)古木が生み出すニュアンス

こんばんは。ソムリエのYosukeです。


ワインのエチケット(ラベル)に「V.V.」という表記を目にすることがあります。

この「V.V.」が意味するところは「Vieille Vigne(ヴィエイユ・ヴィーニュ)」…和訳すると「古い樹」の意。“そのワインが、ある程度の樹齢を重ねた古木から収穫された葡萄から造られていること”を示しています。

英語でオールド・ヴァインズ(Old Vines)、ドイツ語ではアルテ・レーベン(アルト・レーベン Alte Reben)と呼ばれたりもしますね。


■「古木」とは?

実は「樹齢○○年から、古木と呼ばれる」という正確な定義があるわけではありません。

したがって「○○年以上育った樹木から○○%の葡萄を使用したものにV.V.と記載できる」ような決まりがあるわけでもないのです。

それはおそらく葡萄の樹の品種、造り手の感覚、産地の特徴などに「古木」という解釈が左右されるためなのかもしれませんが、概ね20~25年の樹齢を重ねたあたりから「古木」と呼ばれるようです。

CLINE cellars winery

■祖父の代の葡萄の樹を受け継いだ「Cline」

コントラ・コスタの地に歴史ある自社ワイン畑を有する「Cline」。その広大な畑は祖父、ヴァレリアーノ・ジャグジーが遺したものです。

1980年代、他の多くの人々が古い樹を引き抜きカベルネやシャルドネに血道を上げる中、祖父が残した古樹の畑を守りカリフォルニアを代表する黒葡萄品種「ジンファンデル」やローヌ系の品種など、伝統的品種にフォーカスしたワイン造りを続けていました。そんな祖父から受け継いだ葡萄の樹…中には、樹齢100年を超える貴重なものもあります。


■テイスティング

使用品種は、アタックが強く重いワインを多く生み出す「シラー(Syrah)」。

その外観は、濃厚なルビー色。フルボディらしいしっかりとした色づきに、はっきりとした存在感を感じます。

黒葡萄「シラー」の品種特性は「黒コショウを思わせるスパイシーなニュアンス」と言われることが多く、Clineの手掛けたこのシラーにもブラックペッパーのようなスパイシーな雰囲気があらわれています。

それでいてアロマにはミントを感じさせる爽やかなフレーバー。

重いワインの中に感じる涼やかな香りは、そのワインの重厚な存在感を親しみやすいものにしてくれるのみならず、お料理とのペアリングの幅も広げてくれそうです。

たとえば、シンプルにスパイシーなニュアンスをまとったシラーであれば塩コショウをきかせたステーキなどにマッチするでしょう。しかしそこにミントを思わせるアロマが加わったことにより、香草焼きなどハーブの要素を感じさせるお料理にもマッチする懐の深さが生まれるように思います。


■V.V.「Vieille Vigne(ヴィエイユ・ヴィーニュ)」…“古木”の生むニュアンス

黒葡萄「シラー」を収穫する際に、その葡萄が生っていたのが若木か古木か…
それは果たしてワインの出来を左右する重要なファクターとなるのでしょうか。
ワイン造りには、様々な要素が存在します。

品種、産地、気候はもとより、その品種をどう育成するか。農薬は使うのか、収穫は手作業なのか機械なのか。そして収穫したブドウの果汁はどういう方式で絞られるのか。その果汁がワインへと醸造するのは樽か、ステンレスタンクか。その醸造期間の長さは…

などなど挙げればキリがないたくさんの条件がワイン造りには存在します。

そんな中で「古木」という要素がワインに与える影響として挙げられるのは“凝縮感”であると考えられます。


■ワインの“凝縮感”

若い樹木は「自分自身を大きく育ててゆくこと」に多くのエネルギーを使い、その身にたくさんの葡萄の実をつけます。そのため多くの葡萄の果実を収穫することができるでしょうが、樹の持つ栄養素・エネルギーは数多くの果実へと分散されていってしまうため、葡萄の実単体としての果実味は薄くなってしまいがちです。

一方、およそ20年程度の年月を経た葡萄の樹は、結実される葡萄の房の数も少なくなってゆきます。その結果「果実ひとつあたりに行き渡るエネルギー」も、豊かなものになります。また造り手によってはそこからさらに間引きを行い、“どの葡萄の房に栄養素を集中させるか”を細かくコントロールしてゆきます。

 

CLINE vineyard-CatapultRanch

■“樹齢100年を超える”…Clineの葡萄畑

さて、そこから立ち返ってこのCline Syrahをあらためて見てみたいと思います。

シラーの品種特性であるスパイシーさを備えつつも、とげとげしくないまろやかな口当たりと余韻。柔らかく品があり包み込んでくれるような味の広がりとフィニッシュ。

非常に奥深いものがあると感じます。

加えて、アロマから感じ取れるハーブのニュアンス。

粗い造りのシラーであればややもすると辛くて苦く、重いだけ…となりそうなところを非常に品のある仕上がりとしているところはまさにこの「古木による凝縮感」の為せるワザなのかもしれません。

ワイン単体でも、お料理と併せても、とても味わい深いClineのSyrah

お好みに合わせて是非お楽しみください。


※毎週土曜日、関内のワインバー「The Warehouse by Tomei Wines」にてソムリエとして立たせていただいています。本日紹介したワインをはじめとしたボトルの販売はもちろん、こだわりのカリフォルニアワインをグラス1杯からお楽しみいただけます。


お気軽にお立ち寄りくださいませ。

Wine Drop 代表 Yosuke

The Warehouse by Tomei Wines