ワインは、家族や友人と楽しむ最高の喜びの飲み物である

ソムリエのYosukeです。


突然ですが、皆様はワインをどんな風に楽しまれることが多いでしょうか。

ディナーにと訪れたレストランでパートナーと一緒に召し上がることもあれば、週末を楽しむ一本として家族でワインを開ける方もいらっしゃるかもしれません。

自分へのご褒美としてちょっとこだわりの一本を選んだり、勉強のためにワインを味わう人もいらっしゃるでしょう。

さて。今回紹介するのは「ワインは何よりもまず、家族や友人と楽しむ最高の喜びの飲み物である」と固く信じる醸造家。

カリフォルニアワインの名醸地としてよく名前の挙がる有名な「ナパ」や「ソノマ」に負けずとも劣らない注目の産地「ローダイ(Lodi)」より、家族経営の小さなワイナリーが手掛ける感動の赤ワインを紹介させていただきます。

品種は、カリフォルニアワインの名声を高めた葡萄品種の一角「ジンファンデル」。

それではどうぞ!

 

 

■テイスティング

綺麗に澄んだ、濃厚なルビー色。

まっすぐ純粋な仕上がりを予想させてくれる、ストレートな外観です。

まず、驚くほど複雑に香るアロマからわかる確かな存在感。丁寧なワイン造りがなされていることをその香りから実感できます。

樽由来と思われる優しいヴァニラ香。

カラメルのような若干のビターさを伴った、まろやかな果実感。

清涼感を与えてくれる、ひとつまみのハーブの香り。

“複雑”とはいうものの、散漫な印象は全くありません。

数多くの香りのニュアンスが存在しているにもかかわらず、そのアロマから感じる印象は「素晴らしい香り!」というそのひとことに尽きます。

続いてはその味わい。口当たりには葡萄本来が持つだろうと思われる、みずみずしいブルーベリーを思わせる印象的な酸が。そして、そのブルーベリーの酸味をなめらかに包んでくれる優しくクリーミーな舌ざわり…おそらく樽によるものでしょう。

St. Amant Zinfandel

果実味たっぷりのジンファンデルと、樽が与えてくれた優しくまろやかなアタック。クリームベースのソースを使ったパスタやお肉料理はもちろん、このワインの持つベリー感に合わせたデザートなどとも好相性かと思います。

そして余韻。最後に顔をのぞかせるのは、ワインを口にしたときに感じた「ベリー系の酸味」です。ラズベリー、ブルーベリー、イチゴのような…

これらの酸が非常に心地よくワインの後味を締めくくってくれます。

豊かなボディを持つ一本ながらも、フィニッシュで感じられる酸味がこのワインを爽やかにまとめ上げてくれるため、ゆとりをもって次の一杯を楽しむことができます。

外観、香り、味わい、余韻…

まるで一連の詩のような、豊かな物語を感じさせてくれるジンファンデル。

この繊細な一本は、彼ら自身の葡萄畑「セント・アマント・ヴィンヤード」のみならず、彼らの信頼する“ブドウ畑”の協力があってこそ、もたらされております。

 

 

■「ネゴシアン」というスタイル

「自社畑で収穫したブドウを100%使用し―――」

そんな言葉は魅力的に響くものです。

反面「農場からワイン用ブドウを購入し、ワインを造りました…」といった表現にはどこか少しだけ味気ない感覚を抱くかもしれません。

しかし、本当にそうでしょうか?

たとえば、フランスのブルゴーニュに「ネゴシアン(Négociant)」と呼ばれるスタイルのワインの造り方があります。“ネゴシアン”という言葉の解釈は産地により少々異なりもしますが、ブルゴーニュにおいては「他の葡萄園から購入した葡萄により、自分たちのワインを造る」というスタイルを指します。

さて。世界中には様々な表情に富んだ広大なワインの産地が存在します。それぞれの土地や畑に異なった個性があり、そこで育つ品種も、育て方やこだわりも様々です。

その広大な大地の中から、いかにして信頼できる葡萄畑や、自分のこだわりを理解してくれる農家を探し、どれほど自身の理想に近い素晴らしいワインを造ることができるか…

そこを模索してゆくのもまた、それぞれのワイン醸造家が目指すワイン哲学と考えられはしないでしょうか。

 

さて。St.Amantのワイン造りを支え、世界中に彼らのワインを届ける支えとなっているひとつとして「モーフライ農場(Mohr-Fry Ranches)」の存在があげられます。

モーフライ農場。150年以上、5世代にわたる歴史を持つその農園は、自分たちの知識と能力そして時間をそそぎ込んで育て上げたローダイ産の葡萄を、いくつもの偉大なワインの醸造所へと供給しています。

そして今回紹介しているSt.Amantも、モーフライ農場の産み出す葡萄を使って自分たちの理想とするワインを作り上げている生産者の一角です。

St.Amant自身も、葡萄畑を所有しています。しかし決して大規模とは言えないワイナリーである彼らが有する畑から収穫する葡萄だけで、ワイン造りに必要なだけの量を栽培し収穫のうえ醸造することは難しいかもしれません。可能だとしても、その品質は現在のクオリティを維持できるかはまた別の問題であるといえると思います。

そんな彼らが信頼を置く葡萄畑が、モーフライ農場。

ローダイの“葡萄畑“と、ローダイの“生産者”が手を取り合ったことで生まれるこの赤ワイン。まさに「カリフォルニアの“ローダイ”をまるごと味わえる1本」と言えるかもしれません。

 

 

余談になりますが、紹介させていただいた「モーフライ農場」は「ジョエル・ゴット」というエステートにも葡萄を提供しております。

この「ジョエル・ゴット」。実はかつて私Yosukeがソムリエを志しワインを学んでいた頃、はじめてカリフォルニアワインの感動を与えてくれたブランドです。まさかここで再会できるとは…と感激するとともに、本ワイン「St.Amant」の味わい深さの一端を見たような嬉しさがありました。



家族との絆、同じ土地に根差した農場の育む葡萄。

周囲の協力と歴史があってこそ産み出されるワイン、St Amant

ぜひお試しいただければと思います。

 

WineDrop代表 Yosuke

 

Marian's Vineyard, Lodi, California